ブランド戦略とVI

渋谷の109のロゴが変わるらしい。

渋谷が今再開発のなか大きく変貌しようとしている。周囲のハードが先端になるなか、「VIでも変更しよう」というのは頷ける。そのような背景のなかプロ、アマ問わない公募でデザインを決めるようだ(正直、裏側はどうなっているのかは別の話である)。最近、VIをコンテストで決めるケースが目立っているような気がする。その最たる例が、あの問題になったオリンピックだろう。

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さて、このようなVIを公募するというやり方・・・時代なのだろうか?私が古いのであろうか?いささかブランディングの観点では疑問を持ってしまう。なぜ、事業の思いを込め、ブランド戦略の凝縮し、ブランド資産を蓄積する「器」となるVIを人に任せてしまうのか?デザインを開発するためのインプットする情報として、渋谷の将来像、そこにおける109のレゾンデートル、さらにはそれ故のターゲット戦略やポジショニング戦略、それらが公募で説明されていればまたそれはそれで納得なのだが、その戦略図もないままにVIを公募する、そこにブランド戦略の意思があるのだろうか?

もちろん、自分たちが思い描いているブランド戦略に公募されてきたデザインの合致性で選考するやり方もあるだろう。また、もうブランド戦略から考えてもらい、「ああ、そういうこと」のように選択視点がないままに直観を頼りに決めることもあるのかもしれない。しかし、やはりブランド戦略にはそのブランドのオーナーの強い意志が必要だと私は思っているし、VIはブランド戦略が最終的に「結実」されたものであって欲しいと考えてしまう。だから、ブランドオーナーの責任もそこで明確になる。誤解を恐れずに言うなら、公募の方法はブランドオーナーが責任を放棄しているのではないか思う。

ブランドはブランドオーナーの意思のもと「ブランディング」というINGのプログラムによって成果が表出されて構築されていく。近道はない地道な行動である。VIは「ブランドシンボル」としてその成果の評判を蓄積していくものである。

109ロゴが公募でどのようになるのか、楽しみにしたい。